ライカと歩けば〜ライカのカメラについて〜

カメラ

こんにちは。文(ふみ)工房代表で、写真撮影担当カメラマンの文(ふみ)です。
写真撮影を趣味にしてかれこれ30年以上。これからカメラのことについて、ここで色々語っていこうと思います。まずは「ライカ」のカメラについてお話したいと思います。よろしければお付き合いください。

ライカとはどんなカメラか?

最近はデジタルカメラが主流になっていますが、それまではカメラと言えばフィルムカメラのことでした。
フィルムカメラには

  • 一般的に使用するのは35mm(135)
  • 中判カメラで使用するのは120・220フィルム
  • 大判フィルムや以前製造されていたけど、今ではもう販売されていない110フィルムや126フィルム、APSフィルム

このようにさまざまな種類やサイズのフィルムがありました。

特に一般に広く普及した35mm(135)フィルムサイズで、コンパクトで使いやすくよく映るカメラを考案したのが、ドイツのカメラメーカー「ライツ社」にいたオスカー・バルナックです。
このカメラが出るまでは、写真撮影はガラス乾版を使用していて、しかも9×12センチや6.5×9センチ、最小でも4.5×6センチとサイズが大きく、しかも撮影できる枚数は一枚だけでした。
ところがライカの画面サイズは、2.4×3.6センチ。フィルムを小さくしたことで何枚も続けて撮影が可能になったのです。

ちなみにライカという名前は、「ライツ社(会社名)」のカメラという意味です。
Leitz + Camera = Leica
しかし、のちに会社名は「ライカカメラ社」に変わります。

ライカ社はその後、革命的な製品を次々と製造し、人気も知名度も上がり、1954年M型と言われるM3が発売されると、その完成度の高さに世界中が驚きました。特にファインダーの完成度は究極ともいわれ、他のカメラメーカーは真似することが出来なかったと言われています。ライカのカメラは、まさに世界のトップメーカーとして憧れの存在となりました。多くの有名なプロカメラマンが、ライカで撮影した傑作写真を世に送りだしたことも、影響を与えた一因です。

カメラはカメラ本体だけでなく、レンズもたいへん重要です。ライカはカメラの完成度もさることながらレンズにおいても名玉と呼ばれるものが数多くあります。また、ライカのカメラが高額なのは、一つ一つをほとんど手作業で製作しているため、人件費にコストがかかっているから。それだけ精密なカメラということなんですね。

自分にとってのライカとは

私は祖父のカメラ趣味の影響で、小学生からいろいろなカメラを使っていましたが、さすがにライカを手に入れたのは30歳を過ぎてからです。その時すでにライカM3は製造が終了していたので、新品で手に入れることは不可能でした。しかし、憧れのライカ。いくら中古でも、ちゃんとしたものを手に入れたいと思いました。

そこでなぜ自分はライカM3が欲しくなったのか?を、よくよく考えました。
ライカのブームが起きたのは1997年頃。小学館で発行していた人気の男性向け情報雑誌ラピタでは、「ライカM型ウイルス」(1997年9月号)のタイトルで特集が組まれるほどでした。ライカに関する沢山の雑誌や書籍が次々と発行され、貪るようにそれらを買い漁って読んだものです。当然欲しい思いはたかまるばかり。

中古カメラ店でも、ライカが数多く展示販売されるようになり、とうとう辛抱できなくなって普段から出入りしていた中古カメラ専門店で、ライカM3購入することを決意したのです。やはりライカの中でも、最高傑作といわれるM3、状態が良いもの、それでいて出来るだけ製造が前期型(1954~1956年)を希望しました。ライカM3は14年間製造されたことにより数々の変更があり、前期型のほうがコストダウンも少なくより良い製品作りをしているように感じたからです。

購入して実際手に取ると、思ったより重い事やファインダーを覗いたときの明るさと見易さに驚きました。どこの国のメーカーも真似して作ることが出来ないレベルです。幼い頃から古いカメラを使っていたので、マニュアル機の操作(露出やシャッタースピード、距離などを全部自分で操作する事)は苦にはなりません。しかし、今まで数多くのカメラを所有して操作してきましたが、それまでのカメラとは全く違う感触なので、なんだかこわくて最初はおっかなびっくりで撮影していました。

ただ、どんなカメラもそうですが手に入れてもよい写真がとれるとは限らないし、相性が悪いと手放すことになります。(ただコレクションするのなら別ですが)今のところは、まだ何とか使わせてもらっているような感覚ですが、時々とてもしっくりと自分の撮影にシンクロすることがあり、そんな時はとても気持ちよく撮影出来ます。

ライカ(M3)の何が良いのかは人それぞれと思います。でもカメラが好きなら、一度は手にしてみると良いかもしれません。ライカというカメラは、自分の身体の一部となり肉眼で見ている感じで撮影できるカメラだと感じています。私はライカM3で撮影することで、本当に撮りたい写真を撮影する大切さと楽しさを再認識しました。

ライカM3からライカ一眼レフカメラへ

ライカM3はすばらしいカメラですが、普段から持ち歩くには条件が限られ、撮影時に望遠や広角レンズではどうしても構図や使う場所に制限がでるという難点があります。ほかにも原因(価格とか)はありますが、ライカは次第に日本の一眼レフカメラにどんどんシェアを奪われ、世界のトップの座から落ちてしまい、会社経営も困難になるのです。

当初は自社で一眼レフカメラも開発製造を行っていましたが、コストや技術の面から当時のミノルタと提携関係を結びます。カメラの内部はそのままで、外見や測光機能を追加して販売しました。それでも日本のメーカーより、かなり高額な為、評価も販売数も伸び悩みました。レンズはミノルタの設計によるものもありますが、一眼レフでもライカらしい描写を感じられるものが沢山あると私は感じています。

思いつくままにライカのカメラについて語ってみました。最後に写真家・カメラ評論家の田中長徳先生の記事で印象に残っている言葉を紹介したいと思います。

「目的のない写真、売れない写真、なんとなく撮った写真の命は、写真家そのものの命よりもはるかに長い」

ライカはそういう命の長い写真を撮影るのにもっとも適しているカメラです。私もそんな写真を撮り続けていけたらと思います。

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